"秘境駅"小和田駅から隣の中井侍駅まで歩く
2017年夏のことで今更だけど、JR東海の飯田線小和田駅から中井侍駅まで歩いた時のことを書き残しておきたい。
小和田駅は愛知県、静岡県、長野県の三県境地帯にある有名な秘境駅で中井侍駅はそのひとつ隣の駅。
小和田駅に行ってみたいとは以前から思っていたものの、単に駅に行って周辺をちょっと見て終わりってのもなと思ったので隣の中井侍駅まで歩いてみることにした。
小和田から中井侍まで歩こうと思っても天竜川・線路沿いに道はない。
いや、本当はあるようなのだが当時ネットで調べていると橋が崩落していて通行不能といった情報を見かけた。
ということで川の東側で川沿いを進むのは現実的ではないと判断。
天竜川の西側には比較的川に沿っている道があるが川を渡る橋はひとつ前の大嵐駅か、かなり北まで行かないとない。
結局山道を通って大きく東の方へ迂回して舗装道路に出ることに。
Google Mapで天竜川の東側に唯一映っている道がそれ。
この道がこれまたかなり東にぐるっと回りこんでいる。
そのため電車だと数分の移動なのに徒歩だと4,5時間かかってしまった。
小和田駅
とても味のある駅舎。
小和田駅は平成の初期に恋愛成就の駅として有名になったらしい。
その名残として駅舎に当時の結婚式の写真が飾ってあったり、幸せを呼ぶ椅子が設置してある。
花嫁号というのもそのひとつだろうか。
小和田駅から山道を抜けて公道へ
まず小和田駅から山の中を抜けて舗装道路までたどり着かなければならない。
Google MAPだと表示されていないが、道自体はちゃんとある。
yahoo地図には記載があった(小和田駅から塩沢あたりに続いている道)。
まずは小和田駅付近で唯一の建物である廃屋のそばを通って川の方へ下っていく。
天竜川の横を進む。
この辺で川から離れてだんだんと山の中へ入る。
進むにつれ何度か道が通れなくなっている場所に出くわした。
画像の高瀬橋というのが崩落した橋だったようだ。
つまりここが通れるようになっていたのなら川沿いを進んで中井侍まで行けたということだ。
他にも崩土などで通行禁止になっている道がちらほらあった。
この辺で舗装道路までの道がふさがってしまっていないか心配になり始める。
赤いつり橋を渡っていく。
渡るとき崩落した橋のことが頭にちらついて怖い。
三角点を通り過ぎる。もう少しで舗装道路だろうか。
写真だと全然見えないが、ここに巨大な蜘蛛が道を塞ぐようにこれまた巨大な巣を張っていた。
この蜘蛛の巣があった廃墟小屋のそばを抜けるとすぐに舗装道路だった。
近くに「関谷区公民館」があるあたりに出る。
中井侍駅へ
あとは舗装道路を歩いて中井侍駅へ行くだけ。
舗装道路に出て少し休んでいると郵便局の車が通り過ぎていった。
ここまで来ると秘境感もかなり薄らいでくる。
まだ全行程の7割ぐらいがここからだが・・・。
少し歩くと朽ち果てた火の見櫓?と車が佇んでいた。
車には詳しくないがかなり古いものだというのはわかる。
秘境感が薄らいだとか思っていたらいきなり秘境感を出してきた。
さらに歩いていくと長野県に入る。
天竜第二隧道や天竜第一隧道といったトンネルをいくつか抜けていく。
トンネルの中は涼しくて夏場は気持ちがいい。
ふと見晴らしの良いところに出たとき、小さく小和田駅が見えた。
歩いてきた距離を実感する。
川の反対側に集落が見えた。光が雲間から差し込んでいて神々しい。
地図を見た感じだと左閑辺の集落だろうか。
道端に干支の刻まれた石が祀られていた。
なぜ甲子と庚申なんだろうと思って後で調べてみると、甲子の日と庚申の日はそれぞれ商売繁盛と五穀豊穣、無病息災と長寿を祈る日とのことだったので祀るのには相応しそうだ。
中井侍駅
戻りの電車の本数が少ないので電車に遅れないよう少し早歩きになったが、なんとか中井侍駅周辺までたどり着いた。
中井侍駅の周りには何件か民家がある。斜面に沿ってつづら折りになっている道に沿うように建っているのでなかなか壮観。
小和田駅までほんの数分。
一日歩き通して移動した駅間が一瞬で車窓の後方に流れていく。
少し寂しい思いがしつつも心地よい疲れですぐに眠ってしまった。